優秀な人材を集めるには、若年層の価値観を知り、受け入れよう

2022年5月30日月曜日

組織・人材

仕事と家庭、どちらが大事?

昔から、この質問は良く語られます。
ホームドラマでも、夫婦喧嘩のシーンで「仕事と家庭と、どっちが大事なの!」と妻から詰問される夫、なんていうティピカルな表現が良く行われていました。

世代によってどう答えるかは差があるとは思いますが、若い世代ほど「仕事」よりも「家庭」の比重が高くなる傾向があります。

このエントリでは「価値観の遷移」に着目しているので、男性の価値観に着目していきます。もし女性の部下だとしても、同様に「家庭」の比重が高い傾向がありますので、同様に対処することが必要です。

静岡市の調査

静岡市の「令和3年度男女共同参画に関する市民意識調査」で『「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の優先度』というアンケートをとっています。この調査によると、 10 代〜 30 代の男性で「仕事」と答えたのは、なんと 0% でした

調査報告書の P.18 に、以下の結果があります。

このアンケートでは、以下の選択肢を用意しています。

  • 「仕事」を優先したい
  • 「家庭生活」を優先したい
  • 「地域・個人の生活」を優先したい
  • 「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい
  • 「仕事」と「地域・個人の生活」をともに優先したい
  • 「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したい
  • 「仕事」と「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したい

選択肢に『「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい』があるのにも関わらず、『「家庭生活」を優先したい」の回答が最も割合が高くなっています
(10代・20代は「家庭」22.2%、「仕事と家庭」14.8%。 30 代は「家庭」39.1%、「仕事と家庭」30.4%)

この結果について静岡市は、以下のように分析しています。

(仕事を優先したいと回答した人は)前回調査では、10・20代で12.5%、30代で12.9%であったが、ついにこの割合が0となったという事実は、若年世代の男性の意識の変容が想定以上に急激に進んでいることを示す重要なポイントであり、施策推進の上でぜひとも踏まえておかなければならない非常に大事な視点である。

このように、若年層男性の価値観はそれ以上の年齢層と差が生まれています

「男は仕事」が古いことは分かる

ジェンダー平等の考え方が広まった今、「男は仕事」という価値観は古くなったと言われていますよね。これはすでに広く認識されており、納得されている方も多いと思います。

「仕事も家庭も大事」の価値観も古くなりつつある

男 40 代以上は、「仕事も家庭ともに優先」という回答が最も多いですが、それより下の年代では「家庭を優先」が最も多くなっています。
「仕事をやって給料をもらえるから家庭が安泰なのだ」という考え方は間違っていません。しかし「だからこそ、給料をもらうために苦しくても我慢して働くことは、家庭のためでもある」という解釈は、おそらく若年層男性と共有できません。
「給料をもらえるから家庭が安泰」までは共有できたとしても、「苦しい思いするぐらいなら、家庭にも時間を使えるように他の給料をくれる会社で働く」という選択が出てくるでしょう。

若年層男性の価値観を尊重して信頼を築く

若年層男性において「仕事」に対する優先度が落ちてきていることが分かりました。
「仕事には全力であたるべき」と考えている年代からすると、少し残念な結果かもしれませんね。しかし「仕事には全力であたるべきである」と、価値観を上書きしようとするのは間違いです。
「自分の価値観が正しくて、相手の価値観が間違っている」という決めつけを行うと、部下との信頼関係は築けません

自分の価値観で相手を測ろうとしない

若年層男性の価値観は明確に「仕事」よりも「家庭」に比重が置かれています。それは前述の調査結果から推し量ることができます。
この相手の価値観を最大限に尊重しましょう。
価値観が合わない事は「正解」と「不正解」に分けられません。どちらもそれぞれの「正解」を持っています。
相手の価値観を否定するのは何も生み出しません。それどころか反発を招きます。上司側の価値観に合わせて働かせようとすると、やがて若年層男性は辞めていくでしょう。

若年層男性が辞めた理由を他責ではなく自責で考える

若年層男性からみて、この会社、この上司の価値観の下では働けないと考えると、会社を辞めます。そのとき、あなたはどういう感想を抱くでしょうか?
「最近の若者は、腰を据えて頑張ることをしない」
と他責思考になりはしないでしょうか? 実際には、価値観の違いで辞めているのかもしれません。
自責思考で「自分に責任があるとすれば、それは何だろう?」と問うことで、改善策が生まれてきます。他責にしている限り、何も改善はしません

若年層男性の価値観に合わせた労働環境を提供しよう

優秀な若年層男性を定着させるには、彼らの価値観に合わせた労働環境を提供するのが効果的です。では、どのような環境が求められているでしょうか?
従業員の価値観を尊重する企業だと内外にアピールするのが重要です。

  • 男性育休取得の奨励
    実際に育休取得実績をトラッキングして、もし正しく育休が取得されていないならば原因を分析しましょう。場合によっては、直接口頭や書面で 6 ヶ月の育休取得を促すなど、強く奨励しているという姿勢を示しましょう。
  • 残業の抑制
    従業員が残業しすぎていないかトラッキングしましょう。残業過多の従業員を見つけたら、原因を調査しましょう。残業過多になっている本人に対して、根本的な対処を行っている事を伝えましょう。
    対処している姿勢を示すことが重要です。対処中であることを示せば、人はしばらくの間我慢してくれます。
  • フレックスタイム制度の導入
    シフト勤務を提供しましょう。家庭の都合(たとえば子供のお迎えの時間など)に合わせて、従業員のニーズに合った勤務形態を提供することは良いアピールになります。
    勤務評定で不利な扱いを受けないように、人事考課のシステムも明示して安心してフレックスタイムを利用できるようにする事も重要です。

もちろんこれらがすべてではありません。従業員が会社に求めているものは「従業員の声をちゃんと聞いてくれる」姿勢です。
会社は、いかに従業員の要望を吸い上げ、どうやって勤務制度に反映していくかが常に問われ続けています。

最後に

繰り返しになりますが、こういった姿勢を「内外に」示すのが重要です
内部で検討しているだけでは、従業員に伝わりません。
真剣に取り組んでいる、いつ頃までにはどういう制度を作る、などマイルストーンを示しつつ従業員と約束することで信頼関係を築くことができます。

会社が従業員の希望に真摯に向き合っていると示すことで、これらの制度を利用する当事者以外にも安心感を与えます。
未婚や子供のいない社員も、他の社員達がワークライフバランスを取りながら勤務している姿を見ています。将来自分が結婚したり、子供ができた時にも安心してこの会社に勤め続けることができると認識されれば、自然と優秀な若年層男性が会社に残ってくれるでしょう。

  • 従業員の価値観を尊重しよう。
  • できるだけ価値観に沿った労働環境を提供しよう。
  • 検討中の事も内外にアピールしよう。
  • 将来も安心して働ける会社だとアピールしよう。

また社員が辞めた時に「他責思考」ではなく「自責思考」で、自分や会社にどんな問題があったかを振り返るようにしましょう。相手に合わせられなかったのはなぜでしょう? 何ができれば、従業員の要望を叶えることができるでしょう?
我々 ActionCOACH は「他責思考」を捨てて「自責思考」に移行することを重要な考え方だと思っています。
このような「なぜなぜ分析」をビジネスコーチと共に行い、何をいつまでに行うかを計画して、若年層男性が辞めない労働環境を構築するお手伝いをすることができます。

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参考

引用元

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