結論
仕事の「質」を高めるための最短ルートは、「量」をこなすことです。
仕事を「量より質」と考えている方も、まずは「量」をこなすことで「質」が高めやすくなります。
一人で思い悩んで最終的に納得できるものが出来たとして、それが会社や世間から受け入れられるとは限りません。まずはアウトプットして、周囲のリアクションを把握することが結果的に「質」を高めます。
最初から(自分の頭の中で考えた)完璧を目指すのではなく、テストと計測を繰り返して、より他者から求められる物をアウトプットできるようにブラッシュアップし続けましょう。
考えれば本当に最適解が見つかるのか?
考えるだけで最適解にたどり着くのは相当に難しいです。
たとえば飲食店を開店しようとした時、必要なすべてのことを一人で洗い出すのは大変ですよね。
- 保健所、消防などの関連法規
- 自治体への申請
- 家賃、売上目論見、経費などの財務
- 税金
- 各種補助金などの申請
- etc...
これらを一人で漏れなく探し出して、ミスなくこなすのはかなり労力が要ります。そして 1
つミスがあると、どれも大きなダメージとなり得ます。
このように、一人で最適解を探すのは、すごく時間がかかる割に「質」が低くなりがちです。そして失敗した時に、それまでかけた時間がそのまま自分自身にリスクとして跳ね返ってきます。
それならば、最初から最適解を探し求めるのはやめましょう。粗い物でも初期段階から細かくアウトプットを繰り返して、改善し続けましょう。その方がリスクも少なく「質」も高くなりますよね。
質を高める仕事の進め方
ある陶芸の授業の話
「アーティストのためのハンドブック」
という書籍に、以下のようなエピソードが書かれています。
(ちなみに本書は日本語訳の出来が悪いようです。英語に抵抗が無い方は原書をあたる方が良いかもしれません)
陶芸の先生が授業の初日に、教室をふたつのグループに分けると発表しました。そして教室の左側半分の学生は作品の「量」によって、教室の右側半分の学生には作品の「質」によって、それぞれ成績がつけられることが言い渡されました。
先生の手順は単純です。授業の最終日に体重計をもってきて、「量」のグループが制作した重量をはかります。陶器が50ポンドであれば「A」ランクを、陶器が40ポンドであれば「B」ランクを、というように決めました。
けれども「質」によって評価されるグループは、制作するのは一点だけであると決められました。たとえ一点であっても完璧であれば、「A」ランクが得られます。こうして成績をつける日がやって来ました。そして、あるひとつの面白い事実が明らかになったのです。
「質」が最高と評価された作品は、どれも「量」によって評価されるグループによるものでした。
なかなか面白い話ですね。
この陶芸教室の生徒達は、たくさん作ってみることで、自分自身で改善すべきポイントが見えてきたのでしょう。結果的に、「量」をたくさん作った生徒の方が、より改善点を見つけることができて「質」が高まる結果になりました。
頭の中で考えるだけでは、何が「質」なのかが分からないままです。「量」を作ることで、自ずと何が「質」なのかが分かってきます。
仕事においても同様に「質」を高めるためには、まず「量」をこなしてもらうことが確実です。自ずと「仕事の質」とは何なのかを学ぶことができるでしょう。
Facebook CEO ザッカーバーグの話
Facebook CEO のザッカーバーグの有名な言葉として、以下のものがあります。
Done is better than perfect.
これを日本語訳した言葉として「完璧を目指すよりまず終わらせろ」が広く使われています。
ともすれば、少し誤解を生みかねない日本語訳かもしれませんね。この言葉は「考えるよりも、とりあえず実行しよう」とか「手を動かすことに価値がある」とか、そういう意味の言葉ではありません。
元のザッカーバーグの意図は「継続的に小規模な更新をし続けることで、 Facebook
はより良いサービスを提供できるようになった」ことを伝えたかったものです。
「すべてを一度に正しくしようとせず、迅速にリリース可能な小規模な開発スパンを繰り返して開発者が学習することにより、長期にわたって最高のサービスを構築しようとしている」という言葉で
Facebook の開発方針を説明しています。
ここで重要なのは「小規模な開発スパンを繰り返して開発者が学習する」という考え方です。
内部で完璧を目指して長い期間検討するよりも、まずは出力してみることで「顧客が求めているモノ」をより正確に把握することができるようになります。小規模にたくさん出力することで、より外部からの評価を受け取りやすくなります。
これは、まさに「質」を高めるためには「量」が必要だ、という考え方と言えるのではないでしょうか。
非合理、非効率と思いますか?
製品をアウトプットする時には、必ず「お決まりの作業」が発生します。それをオーバーヘッドと考えると、確かに非効率かもしれません。
しかし、「質」を高めるためのコストとして、アウトプットの「量」が必要だと考えると、必要経費だと受け止めることができると思います。
オーバーヘッドが無駄なので「やらない」のではなく、「なるべく無駄を減らす」という発想をしましょう。ザッカーバーグの言う「繰り返して、学習する」の効果を、なるべく効率よく手に入れましょう。
どうすれば効率がいいでしょうか?
答えは「アウトプットの手順をマニュアル化・文書化する」です。マニュアル化・文書化によって、たくさんの効果が得られます。
- オーバーヘッド作業の効率化
- オーバーヘッド作業の、作業量全体をやる前から見積もれる
- 作業者のモチベーションが保ちやすいので、作業速度がキープできる。
もし「チームの新人に早く仕事を覚えてもらって、できるだけ最初からアウトプットの質を高めたい」という場合、過去に作成した以下エントリも合わせてお読みいただければと思います。
まとめ
「質」を高めるためには「量」が大事です。「量」をこなすことで、「一体、何が仕事の質なのか?」に自ずと気付くことができます。
0 件のコメント:
コメントを投稿